現在、南太平洋において、中国勢力が拡大しつつあることをご存知でしょうか?
2022年3月24日、中国と南太平洋のソロモン諸島との間で取り交わされた安全保障協定の草案が、インターネットに流出しました。
草案では、ソロモン諸島国内において、中国艦艇の寄港や補給を許可するという内容の他、治安維持に中国人民解放軍や武装警察の要請、同国内に在住する中国人人民・企業の安全や事業を守るためにも軍の利用ができると記載されているといいます。
このことについて、米国や近隣のオーストラリア・ニュージーランドの各国は、ソロモン諸島での中国軍事拠点の構築に繋がりかねないと、懸念を表明しています。
ちなみに、この記事を書いている日は2022年4月1日なので、上記の事件後、現時点までの関連の出来事を時系列に並べてみます。
2022年4月1日までの経緯
2022年3月25日
ソロモン諸島政府が流出関連について声明を発表しました。
その中で、このように述べています。
・ソロモン諸島は、安全保障と開発協力要請のために、より多くの国とパートナーとの関係を拡大していく必要がある。
・ソロモン諸島はまた、とりわけ中国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、米国、インドネシアを含むすべてのパートナーからのすべての開発支援と支援を称賛する。
・特に、オーストラリアとの2017年の安全保障協定を高く評価している。中国を含めたすべてのパートナーとの関係を発展させながら、オーストラリアとの安全保障を維持し続けていく。
これを受けて、オーストラリアのセセリャ国際開発・太平洋担当大臣は、中国とソロモン諸島の安全保障協定の草案を認識しており、軍事基地の構築は、安定と安全を損なう行動として、特に懸念されると述べました。
2022年3月31日
ソロモン諸島と中国間の安全保障協定の仮調印が行われました。
中国外務省の汪文斌報道官は記者会見にて、太平洋の島国は大国の取引を行う場所ではない、中国と島嶼国との友好関係を損なわせる企みが成功することはないと述べました。
2022年4月1日
ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、改めて流出した草案について、このように述べました。
・中国の軍事拠点を受け入れる場合の、安全保障上の問題は認識している。
・中国との安全保障協定の性質は、オーストラリアと締結したものと同じで、国民と国を外部または内部の脅威から保護するために、関係国が安全を提供するためのものであり、軍事拠点の構築には繋がらない。
・中国が太平洋に軍事拠点を構築するのであれば、パプアニューギニアかフィジーどちらではないだろうか。